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2007年8月18日 (土)

暑い暑い 夏の賄い

イタリアで働いた2件目のレストラン。
モデナの伝統料理の店だった。
その店ではランチ後、3時頃と、ディナー後の夜中1時前位が従業員の食事、『賄い』の時間だった。

まだ、涼しい季節は、ウサギやホロホロ鳥などを
余ったパンや、ランブルスコ・ワインなどと一緒に食べていた。それはそれは、もう腹いっぱい。

ところが一転、暑い夏になると、50代後半のオーナー夫妻の食欲が、激減する。
暑いので熱い料理を避けたがる。
そんな時、ナポリ出身の奥さんの『鶴の一声』で賄いに決まるのが、生野菜。

とは、言っても日本の僕らが想像するようなレタスなどの葉っぱ系のものではなく、
生玉葱、ウイキョウ、セロリなどをひたすらオリーブオイルと塩で食べるのだ。

バキバキ、シャキシャキ・・・。

確かにイタリアの野菜は概ね美味しい。特に、トロペアと言われる赤い玉葱やチポリーナといわれる葉玉葱などの甘さは格別だった。

ただし、それは充分に加熱した場合の話。

生の玉葱丸ごと1個ひたすら食べ続ける様を想像して欲しい。
辛いし、臭いし、真夜中に絶頂を迎える空腹をとてもじゃないけど、満たしてはくれなかった。

屋根裏部屋の僕の部屋には食べ物は何も無い。
夜中の1時に食事を摂ると、次の日の3時まで何も食べられないのだ。

『今日は食欲無いから、野菜!』
と奥さんが宣言すると、

頭の中は『ガーン!』って感じで2,3分
立ち直れない。

奥さんに
『ジジ(僕のあだな)、食欲ないの?あんまり食べてないようだけど』
って心配された。
僕のショックに気付いてもいない、チャップリン似のオーナーのおじさんは
『ジジ、これ(玉葱)食べた後、女とキスするなよ。臭いぞ』
と冗談を言ってはヘラヘラ笑っていた。

『玉葱・ウイキョウ・葉玉葱賄い』は、2日に1回のペースだった。
その度に奥さんに食欲を心配され、おじさんの、「女とキスするな」ジョークは繰り返された。

この夏、僕の体重は6キロ減った・・・。

同じ火を加えない料理でも、
生ハム・メロン等はモロモリいけた。
日本に居る頃、なんで生ハムメロンっていうものがあるのか、今ひとつ納得いかなかった。ハムはハム、メロンはメロンで別々に食べればいいんじゃないかなぁって思っていたのだ。

でも、真夏の、あまりエアコンのない、あったとしても日本ほど涼しくないイタリアで食べてこそ、生ハムメロンの料理の意味が判った。
メロンは甘みと水分補給、生ハムは汗で失われた塩分補給が出来るのだ。
生ハムメロンは素晴らしい!

もう一つ僕が生ハムメロンと同じ理由で好きだったのが、
生ハムとモッツァレラ・ブッファラ(水牛のモッツァレラチーズ)。
これが賄いの時はガンガンいけた。
(ただし、生ハム、モッツァレラはイタリアでも決して安くないので、
そうしょっちゅうは賄いにはでない。)

暑いので氷を入れて冷やした赤ワイン(ワイン通の方には怒られそうだけど、イタリア人は結構氷入れてた)やランブルスコは最高の組み合わせだった。

そんな、イタリアの思い出とともに、
前菜にモッツァレラ・ブッファラと、サンダニエーレ産の生ハムを加えてみた。

da Rigolettino

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