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2010年1月22日 (金)

ランチの魚料理

故郷宮崎から届いたウスバハギ。

軽くフリットにして、肝のソースとともに。


ちなみにディナーでは、
同じウスバハギをフォアグラのソースで用意してます。

経堂 イタリアン
リゴレッティーノ
東京都世田谷区宮坂3-12-8経堂鈴木マンション地下1階

2010年1月19日 (火)

ショートパスタ

久しぶりにペンネをランチのメニューに追加。

クラッシックなジビエのラグーとともに。

経堂 イタリアン
リゴレッティーノ
東京都世田谷区宮坂3-12-8経堂鈴木マンション地下1階

2010年1月17日 (日)

シニョール・カローテ(ニンジン氏)

『ジジ(イタリアでの僕の愛称)!今夜も人参お願い!』
と、オーナー奥さんの言葉。

『シニョール・カローテ(ニンジン氏)?』
と僕。

『そうよ』

イタリア時代。
2軒目に働いた、モデナの郷土料理店。
こんなやりとりが、毎週金曜日夕方の厨房で
僕と奥さんの間で交わされていた。

毎週末、初老の大学教授が、
決まって来店されるのだ。
お1人で。

パスタやセコンド(主菜)は、その日お薦めのものを召し上がる。
体調によって、パスタは無しでセコンドだけの日もある。


けれど、
前菜は。

決まって、、、。いや絶対に!
生のニンジンサラダ。
判で押したように。毎週。

千切りにした人参に、
塩とオリーブオイルをかけただけの、サラダ。
それも大皿で。

人参の千切り係がいつしか僕の役目になった。


そんなメニューがある訳ではない。

『他に色々美味しそうなメニューがあるのに、
一体全体何故、ニンジン?』

千切りという単純作業を続けながら、
少しだけ僕の頭の片隅には不満があった。


そんなある金曜日、
『シニョール・カローテ』は来店しなかった。
そして、次の金曜日も。

心配になった。

オーナーの話では、体調を崩されたとの事。

3週間振りに予約のお電話を聞いたとき、

ホッとした。

ようやく健康を取り戻されたようだ。

その日、
ニンジンを切り終えた僕は、
初めて、ニンジン氏がサラダを召し上がる様子を
厨房から覗き見た。

実はニンジン氏を直に見たのも、
その日が初めてだった。

口髭をたくわえた、白髪の紳士が
ひと口、ひと口、味わいながら
厳かに、人参を口に運んでいた。

その佇まいを見て、
改めて痛感した。


レストランは単に料理を食するだけの場ではない、と。
日々の疲れから解放され、
癒される場でもあるのだ、と。


そう感じた日から、
ニンジンの千切りが、他のどの料理にも劣らず
大切なものになった。

そのレストランには、
他にも印象深い常連の方が沢山いらした。

僕が勝手に『テンメイ氏』、と呼んでいた、
近所の弁護士さん。

写真家の『加納典明氏』にビックリする位似ていたからなのだが、
決まってランチにいらして、3種類位のメニューを
ローテーションで日替わりに注文されていた。

彼もまた、ハードな仕事の合間に
張り詰めた神経をクールダウンしているかのように、
静かに食事をされていた。

僕が家で作ってきた五目御飯やお赤飯を
召し上がってくださった事もあった。


あと、毎月一度家族を連れて、
食事にいらしていた、ある紳士。

親しみを込めて、密かに『漫才 氏』と呼ばせてもらっていた。

何しろ、昭和の漫才師のような、
ピカピカ光るド派手な緑のスーツに、
これまた、大袈裟に大きな黄色い蝶ネクタイという
いでたちなのだ。
日本人なら絶対にコメディアンにしか見えないだろうけれど、
妙に様になっていて、不思議だった。

その方は、
店に入るなり直ぐ、まだ椅子にも腰掛けないうちに、
厨房に一直線に入って来て、
その日店で最もお薦めのメニューを尋ね、
調理法を尋ね、
更に、その食材を真剣な目で吟味して、
その日召し上がる料理をオーダーしていた。
食の場では、心ゆくまで食を堪能してやろうという、
イタリア人の並々ならぬ意気込みを
垣間見た気がした。
僕ら作り手の意気込みも増した。

その方にとって、レストランでの時間は、
新たなパワーを注入する充電のひと時のようだった。


イタリアで、僕にもいつしか行きつけのレストランができた。
それは、給料を少しずつ貯めて楽しみにしていた、
自分へのささやかなご褒美の時間だった。

そこはシニョーラが1人で切り盛りする小さなレストラン。
外国人で、しかも言葉もおぼつかない僕の事を
何故か『王子、王子』と呼んで
いつも温かく迎えてくれた。

寒い寒い、北イタリアの夕暮れに
凍えながらそのレストランのドアを開ける時。
真っ先に目に飛び込んでくる、
気さくなシニョーラの笑顔こそが、
慣れない外国で、大勢と寮生活を送る僕にとって、
最高のご馳走だった。

食事の合間に、
お互いの国の話や料理の事などを取りとめもなく
話しているだけで、
部屋の暖かさとともに、日頃の緊張がほぐれていくのだった。

そして、そのレストランを後にする頃には
沢山の元気と勇気を貰っていた。
厨房という戦いの場に向かって、
背中を押してもらっているようだった。



僕達のレストランも、
今年で5年目に突入しました。

まだまだ、多くの改善点があり、申し訳なく思う時も
あります。

それらを随時、検討、更に向上して、
『リゴレッティーノ』での時間が
ご来店の皆様にとって
明日への英気を養い、癒しのひと時となれるよう、
皆で努力していきます。

暫くお顔を見なかったお客様の
久しぶりのご来店。
お誕生日などのお祝いの席での、
皆様の笑顔。
『美味しかったよ』
の一言、等など。
僕らの方こそ、皆様に励まされ、癒されているなぁ、と思う今日この頃です。

5年目の『リゴレッティーノ』。
今年もどうぞ、宜しくお付き合いくださいませ。

経堂 イタリアン
リゴレッティーノ
東京都世田谷区宮坂3-12-8経堂鈴木マンション地下1階

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